こんにちは、宇治柴舟です。
旅先で食事をすると、何気ない一皿がずっと記憶に残ることってありませんか。
私にとって八幡巻きはまさにそんな料理のひとつ。
懐石や祝いの席で登場すると、思わず「やっぱりこれがあると嬉しいな」と感じてしまいます。
ごぼうを芯に、うなぎやあなごで巻いて焼き上げる――形はシンプルなのに、香ばしい香りと歯ごたえのある食感、そこに季節の空気まで重なってくる気がするんです。
同じ料理なのに、春と冬では印象が変わる。不思議ですよね。
八幡巻きに込められた縁起と歴史
京都・八幡市はごぼうの名産地。石清水八幡宮の供え物としても、八幡巻きは長く親しまれてきました。
ごぼうは「根を深く張る」ことから、家族の安泰や子孫繁栄を象徴すると言われています。
うなぎやあなごは滋養に富み、贅沢さも添えてくれる食材。だからこそ、お祝いの席にふさわしい料理として広がっていったのでしょう。
私たちが旅館や料亭で八幡巻きに出会うとき、その背景を意識していなくても「縁起の良いもの」「特別な一品」として心に響くのだと思います。
季節が変われば、ごぼうの顔も変わる
春のごぼうは香りが立ち、初夏は軽やかに。
秋から冬になると甘みが増して、八幡巻き全体の印象まで変わっていきます。
料理人にとっては当たり前のことでも、食べ手からすると「同じ八幡巻きでも季節によってこんなに違うんだ」と驚きがある。
その小さな違いが、四季のうつろいを感じさせてくれるのです。
香ばしさを生む職人の技
「串打ち三年、焼き一生」という言葉を耳にしたことはありませんか。
八幡巻きにもまさにその言葉が当てはまります。
ごぼうを巻いたうなぎやあなごに串を打つ作業は、一見簡単そうに見えて実は繊細。
位置がずれるだけで焼き上がりの見栄えや食感が変わってしまいます。
そして焼き。火の強さ、距離、時間――どれも経験でしか掴めない感覚です。
皮を香ばしく、中をふっくら柔らかく仕上げるには、一瞬の判断が求められます。
食べる側からすると、ただ「香ばしくておいしい!」で済むのですが、実はその裏に長年の修練がある。
旅先で八幡巻きをいただくとき、そんな背景を少し想像するだけで、味わいが一層深まる気がします。
盛り付けが映す四季の景色
八幡巻き自体は一年を通して同じ姿ですが、盛り付けやあしらいで四季の表情を見せてくれます。
🌸 春は木の芽を添えて芽吹きを感じさせる
🌊 夏は青竹の器に盛って涼を呼ぶ
🍁 秋は紅葉大根やもみじの葉で彩る
❄️ 冬は柚子皮を散らして温かみを加える
料理人が器やあしらいに込める工夫が、食べ手に「今この季節を食べている」という実感を与えてくれるのです。
だから旅先で八幡巻きに出会うと、ただ味わうだけでなく「季節を感じる時間」まで一緒にいただいている気持ちになるのです。
八幡巻きに宿る京の粋
八幡巻きは主役を張る料理ではありません。
けれど献立の中で静かに存在感を放ち、全体を整えてくれる大切な役者です。
ごぼうの縁起、うなぎやあなごの滋味、そして香ばしい焼きの香り。
それらがひとつになって「控えめだけど忘れられない一皿」を生み出しています。
京都の料理に息づく「粋」とは、きっとこのさりげなさの中にあるのだと思います。
宇治市で八幡巻きを手がける私たち宇治柴舟でも、その伝統を大切にしながら一本一本を丁寧に仕上げています。
旅館や料亭の献立に、四季の彩りを映す一品をお探しでしたら、ぜひお声がけください。
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昆布巻き製造・業務用卸 京都 宇治柴舟有限会社
住所 : 京都府宇治市莵道平町12-1
電話番号 : 0774-33-1534
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