朝の炊き場に立つと、最初に感じるのは
“だし”の香りです。
昆布の甘みと、かつおのほのかな煙のような香ばしさ。
その香りが立ち上った瞬間、何かが体の奥でスッと
整うような感覚になります。
忙しない日々の中でも、この香りを吸い込むたびに
思うのです。おいしさとは、どんなときも
“香り”から始まるのだと。
厨房や炊き場に立つ方なら、きっと似た経験が
あるでしょう。香りがふと過去の料理や、
教わった味を呼び覚ます瞬間。
おいしさの記憶は、味覚だけではなく、香りによって
思い出されるものなのかもしれません。
だしの香りが教えてくれる“おいしさの記憶”
だしの香りには、不思議な力があります。
たとえば、ほんの一瞬の湯気の中にも、昆布や節の
旨味が凝縮されていて、その香りだけで
「今日もいい仕込みができた」と感じる日がある。
味を確かめるよりも先に、香りがその日の調子を
教えてくれることさえあります。
料理人の方々にとっても、だしは味づくりの根幹です。
けれど、香りが安定して立ち上るためには、
素材の状態、火加減、水の温度など、いくつもの
条件が噛み合っていなければなりません。
まるで、音楽の調律のような繊細な作業です。
香りは“おいしさの記憶”をつくる
✅ 香りは味よりも先に“おいしさ”を伝える
✅ 素材や火の扱い方が、香りの質を左右する
✅ 「だし=記憶」をつなぐのは日々の積み重ね
香りが教えてくれるのは、単なる風味ではなく
“おいしさの記憶”です。
それは、食べた瞬間の驚きではなく、後からじんわり
心に残るような感覚。京料理が大切にしてきた
静かな味わいも、きっとこの香りの記憶と深く
結びついています。
香りを支える“見えない仕事”と時間
だしや煮物の香りは、偶然には生まれません。
宇治柴舟の炊き場では、練炭の炎を前に、職人たちが
一鍋一鍋と向き合っています。
火が強すぎれば香りが飛び、弱ければ旨味が立たない。
日によって湿度も温度も違う中で、最適な火加減を
探る作業は、まさに“香りとの対話”です。
炊き場の空気には、独特の温度があります。香りが
立ちはじめる合図を逃さぬよう、耳と鼻と目の
すべてを使う。
料理人の方々なら、この感覚をきっと理解してくださる
でしょう。火を見て、香りを感じ、味を想像する——
それが職人の勘というものです。
香りを生む“観察力”と“待つ力”
✅ 火加減ひとつで香りも味も変わる
✅ 香りは「見えないけれど感じられる」指標
✅ 香りを守るには、技術よりも観察力
私たちが扱う昆布巻きや甘露煮も同じです。香りが立つ
瞬間を見極めるまで、じっと待つ時間がある。
焦らず、火と素材に耳を澄ませることで、香りが
自然と整っていきます。そこに“京の粋”と呼ばれる
丁寧な仕事が宿るのだと思います。
“おいしさ”を決めるのは技ではなく、向き合う姿勢
おいしさとは、技術で作るものではなく、向き合う
心から生まれる——そう感じることがあります。
どれだけ火加減を学び、味を覚えても、最後のひと匙に
込める“思い”がなければ、料理は人の心に届かない。
職人の世界では、誰もが知っていることかもしれません
が、実際に体感するたびにその重みを感じます。
香りがうまく立たない日、火の通りが遅い日も
あります。そんなときこそ、焦らず見守る。
素材の声を聴くように、少しの変化を受け止めて
火を調整する。
そこにあるのは「技術」よりも「姿勢」です。
素材を信じ、時間を信じ、そして自分の手を信じる。
その積み重ねが、結果として“おいしさ”を
形づくるのだと思います。
技術を超える“手の温度”
✅ おいしさを生むのは“誠実な姿勢”
✅ 香りを信じ、素材を待つ勇気
✅ 技ではなく“手の温度”が味を整える
料理人の方々も、私たちも、立場は違っても目指す
場所は同じ。“おいしさの根っこ”には、いつも人の心が
あると感じます。
宇治から届けたい、“変わらない味”のぬくもり
京都・宇治市にある宇治柴舟有限会社では、創業以来、
手仕事の味を大切にしています。
練炭直火で煮る昆布巻きや甘露煮。炊き場に立つ
職人たちは、香りの立ち上がり、湯気の温度、
素材の柔らかさを一つひとつ確かめながら、毎日鍋と
向き合っています。
私たちは「料理人の方々の味づくりを支える裏方」
でありたいと思っています。表舞台に立つ料理の陰で、
香りや旨味を支える存在として。宇治の澄んだ水と、
京都の四季に寄り添いながら、変わらない味を
炊き続けています。
おいしさは派手なものではありません。
誰かの一皿をそっと引き立て、食べた人の記憶に残る
香りを生み出すこと。そんな仕事を、これからも
大切にしていきたいと思います。
もし素材や煮物づくりについてのご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
料理人の皆さまの手から生まれる一皿に、私たちの
炊いた香りが少しでも力になれたら嬉しく思います。
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昆布巻き製造・業務用卸 京都 宇治柴舟有限会社
住所 : 京都府宇治市莵道平町12-1
電話番号 : 0774-33-1534
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